シンプルの中に個性の光るアイディアと、アートから着想を得た独創的なデザインで、ファッション好きから熱い支持を集めているブランド「YOKE(ヨーク)」。一見シンプルなのに、よく見るとどこか他と違う。そんなさりげない個性をまとえるのが、YOKEの最大の魅力です。
この記事では、YOKEのブランド背景から、特徴、サイズ感、そして実際に愛用しているアイテムの紹介まで、ファッションブロガー目線で徹底的に解説していきます。これからYOKEを取り入れてみたい方、気になっていたけどよく知らなかったという方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
それでは早速見ていきましょう。
YOKE(ヨーク)とは?ブランドの基本情報
YOKE(ヨーク)は、日本人デザイナー「寺田典夫(てらだ のりお)」氏によって2018年に設立されたファッションブランドです。寺田氏は文化服装学院を卒業後、OEM会社・ドメスティックブランド「marka」・セレクトショップで経験を積み、企画から販売までの一連業務を学びました。その経験を生かし、自ら立ち上げたのがYOKEです。
ブランド名の「YOKE」は、「洋服の切り替え布」という意味のほかに、「繋ぐ」や「絆」という意味があります。
ブランドコンセプトと哲学:「繋ぐ」という意味に込められた想い
YOKEのデザイン哲学の根底には、「繋ぐ(YOKE)」という考えがあります。このコンセプトには、「洋服作りは一人ではできない。さまざまな人が関わり合って完成する。服を作るところからお客様をつなぐ」ことを表現したいという、デザイナーの意思が宿っています。
そしてこのコンセプトは、以下のようなYOKEのデザイン要素に反映されています。
- ジェンダーレスなスタイル:ユニセックスで着用できるシルエットを重視。
- パイピングのデザイン:パイピングを施すことで見た目から「つながり」を表現。
- 異なる文化のミックス:アートなど多様なカルチャーからインスピレーションを受けたデザイン。
国内外での評価とファッション業界での立ち位置
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ファッションブランドは数年の年月を経て注目されることが多い中、YOKEは1年目から注目される存在でした。人気インフルエンサーの影響もあり、デビュー当初から爆発的な人気を誇り、今もなお国内の20代30代の間で人気を集めています。
まだ海外でのファッションショーは未経験のため、海外での認知はまだ多くありません。ですが、海外にもいくつか取扱いショップがあり、海外ファッション通販サイトの定番である「SSENSE(エッセンス)」での取り扱いもスタートしたことから、今後は海外の認知も広まる可能性が高いです。
YOKEのデザインの特徴と魅力
ユニセックスで着用可能なオーバーサイズシルエット
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YOKEのアイテムは、オーバーサイズシルエットをベースにしたリラックス感のあるデザインが特徴です。
- 肩の落ちたドロップショルダーや、ゆったりとしたボックスシルエットが多く、レイヤードしやすい作り。
- オーバーサイズでありながら、フォーマルウェアのようなクリーンなシルエットが調和している。
- 基本的にはメンズサイズで展開しているが、女性が着ても美しいシルエットになることを前提とした、「ユニセックスなデザイン」を意識している。
特に、デビュー当初に発売して話題になった3WAYのステンカラーコート(通称「シェアコート」)は、コートをばらすことで、男性はショートブルゾン、女性はラップスカートとして、同時に着回せる画期的アイテム。ユニセックスを象徴とするアイテムとして知られています。
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「つなぐ」デザイン
YOKEのコレクションでは、「つなぐ(YOKE)」を象徴するデザイン要素として「パイピング」が頻繁に使われます。パイピングとは、布の端をテープや布で包んで縫い付ける手法のことです。コート・シャツ・ニットなどの生地の縫い目に、パイピングを施して生地をつなげることで、立体感や視覚的なアクセントが生まれます。これにより、シンプルながら個性的なデザインに仕上がるのが、YOKEの特徴の一つです。
さらに、脇線にボタンを付けてサイドスリットを作り出せる仕様も、YOKEの特徴の一つ。これも「つなぐ」のコンセプトを感じさせるディテールといえます。
シンプルだけど個性的なアート要素
YOKEのアイテムは、シンプルだけど個性的な要素が含まれていることが多いです。特に数多くみられるのが、世界的に有名な美術家のアートから着想を得たデザインです。ほぼ毎年、アート要素が採用されています。
以下は過去の実例です。
【21AW】マーク・ロスコ
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2021年秋冬シーズンでは、アメリカの抽象的画家「マーク・ロスコ」からインスピレーションを受けたデザインが採用されています。作品の特徴である「色彩のグラデーション」を、ニットの起毛で表現しています。
【22SS】バーネット・ニューマン
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2022年春夏シーズンでは、カラーフィールド・ペインティング(抽象絵画の1つ。色彩による「面」の領域が大部分を示す絵画のこと)の代表的画家であるバーネット・ニューマンの特徴を表現しています。ニューマンの作品の特徴の1つが、一色に塗られた画面を一直線に横切る「ジップ(zip)」と呼ばれるラインのモチーフ。
YOKEのアウター、シャツ、パンツのサイドにステッチを施したり、プリーツ状のニットにしてラインを表現することで、カラーフィールド・ペインティングのデザインに落とし込んでいます。
【22AW】クリフォード・スティル
出典:https://www.fashion-press.net/collections/gallery/85645/1462416;2022-06-23参照
2022年秋冬シーズンでは、抽象画家の代表的存在であるクリフォード・スティルのデザインから着想を得ています。ダイナミックな色彩表現が特徴的で、それを重厚なアウターやニットを中心にデザインに落とし込んでいます。
このように、ファッションと芸術は切っても切れない関係。YOKEは偉大な抽象表現の芸術家からインスピレーションを受けて、洋服をデザインしているものが多いです。他のブランドと比べて、個性をしっかりと主張できる点が魅力的です。
YOKEと他ブランドとの比較(独自性を徹底分析)
YOKEはドメスティックブランドの中でも特に人気のブランドですが、AURALEEやsssteinなど、他にも人気のドメブラはたくさんあります。これらのブランドとどんな違いがあるのか、簡単にまとめました。
AURALEEとの違い
AURALEEは素材の上質さにこだわり、ナチュラルなデザインと洗練されたシルエットを特徴としています。一方、YOKEはオーバーサイズシルエットで、アートやパイピング、ユニークなカッティングなど、デザイン要素の強さが特徴的です。
steinとの違い
stein(シュタイン)は、シンプルで洗練されたモード感を重視しているブランドとして知られています。YOKEはsteinと同じくオーバーサイズシルエットを基調としていますが、よりアート要素を強く打ち出している点に違いがあります。
このように、YOKEは単なる「上質でベーシックな服」とは違い、デザイン的な要素が強く関わっているブランドです。
YOKEの代表的アイテム紹介(レビュー付き)
ここからはYOKEの代表的アイテムをご紹介します。僕の愛用品を元にレビューしてくので、ぜひご参考に。
ニット・カーディガン
YOKEのニットは、ブランドのルーツともいえるほど重要な存在。ファーストコレクションでもニットが中心だったほどで、毎年秋冬には多彩なデザインのニットが展開されます。
僕が愛用しているのは、「7G ALPACA WOOL CARDIGAN」の別注モデル。上質なウールに、南米アンデスの高地で採れる希少なベビーアルパカをブレンドした、肉厚で贅沢な素材感が魅力です。ベビーアルパカは、カシミヤのようなやわらかさと上品さを持ちながら、耐久性にも優れており、長く愛用できます。
YOKEのコンセプトである「つなぐ」を体現する一着で、肩から袖、脇にかけてニットテープで繋がれた独特のデザイン。袖山をなくし横向きに接続された袖は、どんな体型にもフィットし、ナチュラルなドロップショルダーを実現しています。
さらに、袖口や裾にリブをつけないことで、ストンと美しく落ちるシルエットに。前身頃のみ内側に折り返して縫い止めることで、後ろ身頃との立体感の差も演出。身幅や袖幅にはゆとりを持たせ、着丈を短めに設定することで、バランスの取れたワイドシルエットに仕上がっています。
淡いパステル調のモスグリーンも、絶妙で洒落感があります。
レザーアウター
YOKEはレザーのアウターも人気です。その中でも特に人気なのが、2022年秋冬から登場した「レザーカーコート」。シーズンごとに増産され、定番化されていることからも、その人気ぶりがうかがえます。
このカーコートは、ベジタブルタンニンでなめされたシープレザー(羊革)を使用。通常はやわらかいシープレザーですが、タンニン濃度を高め、高圧プレスで仕上げることで、ハリのある質感と耐久性を実現しています。その結果、上品な光沢としっかりした仕立てが魅力。着込むほどにやわらかく馴染み、経年変化も楽しめる「一生モノ」のアウターです。
シルエットは全体的にゆったりとしたオーバーサイズ。肩幅やアームホールにも余裕があり、ニットやスウェットの上から羽織っても着ぶくれせず、レイヤードも簡単です。ジャケットの上からも羽織れる実用性の高さもポイント。
ディテールにもこだわりが満載。襟元にはスタンドカラーにもなるチンタブ、裾の脇にはスリットを作れるボタン仕様など、さりげない変化を加えられるデザイン。随所に施されたカットオフの仕上げも、YOKEらしい控えめながら個性のあるアクセントになっています。
裏地には極細番手の糸で織られたキュプラコットンを採用し、袖通しが良く、着心地も快適。細部にまで気を配るYOKEの哲学が感じられる逸品です。
コート
YOKEのコートは、毎シーズン登場する人気シリーズ。僕が所有しているのは、2019年秋冬シーズンのチェック柄ニットコート。ドイツの名門美術学校「バウハウス」に所属したテキスタイルデザイナー、アニ・アルバースの作品からインスピレーションを得たものです。
黒・濃茶・薄茶の3色を使ったガンクラブチェックが特徴で、YOKEならではのニット素材を採用。ドロップショルダーとオーバーサイズが作り出すコクーンシルエットは、性別問わず美しいバランスで着こなせます。
シャツ
シャツもYOKEを代表するアイテムの一つ。僕が所有しているのは、2020年春夏のストライプ柄オープンカラーシャツで、色彩理論の権威ヨゼフ・アルバース(アニ・アルバースの夫)の作品から着想を得たデザインです。
ブラウン・ベージュ・ホワイトのストライプ配色はバランスが良く、他のブラウン系アイテムとも合わせやすいのが魅力。サイドにはボタンが付いており、開閉してスリットを作ることで、タックインのアレンジも可能です。
裾やポケットにはフリンジ加工も施され、アート性と実用性を兼ね備えた作り込みの細かさが光ります。
Tシャツ
YOKEのTシャツは、シンプルながら一枚でサマになる完成度の高さが魅力。袖や脇にパイピングを施すことで立体感を演出し、他にはない存在感があります。
オーバーサイズのバランスも秀逸で、身幅が広く袖丈が長く、着丈はやや短め。ダークグレーのカラーも絶妙で、シンプルながら個性をしっかり表現できるアイテムです。
YOKEのサイズ感と選び方ガイド
アイテムごとのサイズ感の特徴(シャツ・アウター・パンツ)
YOKEのアイテムは全体的にオーバーサイズ設計。トップスは肩が落ち、身幅も広めで、リラックスした雰囲気に仕上がります。アウターは長めの着丈とワイドなシルエットが特徴的。パンツは下にストンと落ちるワイドストレートがメインで、リラックス感を重視したシルエットが特徴です。
最初は「大きすぎる?」と感じるかもしれませんが、慣れるとやみつきになるバランスです。
おすすめのサイズの選び方
体型別のおすすめサイズ選び
- 細身の方(170cm以下・細身):ジャストで着るならサイズ1(XS)、ルーズに着るならサイズ2(S)がおすすめ。
- 標準体型(170〜180cm):ジャストで着るならサイズ2(S)、ルーズに着るならサイズ3(M)がおすすめ。
- がっしり体型(180cm以上・がっしり):ジャストで着るならサイズ3(M)、ルーズに着るならサイズ4(L)がおすすめ。
※あくまで目安です。サイズが合うか不安な方は、実際に試着してから購入することをおすすめします。
ちなみに、身長176cm・体重62kgの僕は、ユニクロの服はMサイズがジャストで、ゆるさを出すためにあえてL~XLにサイズアップすることがありますが、YOKEの場合はほとんどがSサイズでルーズに着用できています。
あまりサイズを上げすぎても、服に着られてしまう感が出てしまう可能性があるので、基本的には自分の身長に合ったサイズを選ぶのがおすすめです。ジャストサイズといっても、もともとオーバーサイズ設計なので、あえてサイズアップする必要はありません。
YOKEの購入方法と正規取扱店情報
公式オンラインショップと実店舗の紹介
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YOKEは、東京に旗艦店があります。店舗面積は200平方メートルで、表参道に近い港区北青山の閑静なエリアに立地しています。美術館やギャラリーのような佇まいでと余白を意識した空間で、ゆっくりと洋服と向き合い、YOKEの世界観を体感できるようになっています。
YOKEの店舗情報
- 住所:〒107-0061 東京都港区北青山2丁目11−15 町田ビル 2F
- 開店時間:12:00 – 19:00(定休日:水曜日)
- 電話番号:03 6804 3330
YOKEには公式オンラインショップがあるので、通販を利用したい方はそちらが第一選択肢です。
正規取扱店と通販サイト
YOKEは、日本全国に正規取扱いのセレクトショップが点在しています。詳しい場所については、YOKE公式サイトのSTOCKLISTをご覧ください。
※各ショップによって入荷商品・タイミングは異なるため、シーズンごとにSNSや公式ページをチェックするのがおすすめです。
通販サイトも多数あります。セレクトショップ以外の通販サイトなら、以下の3つがおすすめです。商品展開数も多く、大手なので安心感もあります。
おすすめの正規取扱い通販サイト
中古市場を狙うのもおすすめ
YOKEのようなデザイナーズブランドは、海外のインポートブランドと比べると比較的お手頃とはいえ、ホイホイ買えるほど安いとはいえません。「欲しいけど買えない…。」と悩む人もいるはず。
そんなYOKEをお得に楽しみたいときに役立つのが、
特にYOKEの特徴でもあるゆったりとしたシルエットや落ち感のある素材は、数年経っても古さを感じさせにくいため、中古でも十分魅力を発揮してくれます。自分のペースで、少しずつYOKEの世界観を楽しみたい方におすすめです。
YOKEのアイテムを取り入れたコーディネート例
ここからは、実際にYOKEのアイテムを取り入れたコーディネート例をご紹介します。どのスタイリングも、YOKEらしい洗練されたシルエットや素材の良さを活かした着こなしになっています。
YOKEのシャツコーデ
まずは、YOKEのベージュとブラウンのストライプ柄シャツを使ったコーディネート。白のTシャツをインナーに仕込み、ダークブラウンのワイドスラックスにタックイン。足元は黒のチロリアンシューズで引き締め、YOKEらしい配色の妙と端正なバランスを感じさせるスタイリングです。
YOKEのTシャツコーデ
続いて、YOKEのダークグレーのオーバーサイズTシャツを使ったコーデ。黒のワイドスラックスと合わせ、足元にはダークグレーのスエードサンダルをチョイス。同系色のダークグレーのハットを加えることで、色の統一感と奥行きを演出しています。Tシャツ1枚でも様になる、YOKEの魅力が光る着こなしです。
YOKEのカーディガンコーデ
3つ目は、YOKEパステル調のモスグリーンカーディガンを主役にしたスタイリング。インナーには白のバンドカラーシャツ、ボトムスには黒のワイドテーパードのコーデュロイパンツを合わせ、足元は黒のローファーでミニマルに。淡くやわらかい色味のカーディガンと黒ベースの下半身が好対照を成す、バランスの取れたレイヤードです。
YOKEのコートコーデ
さらに、YOKEのブラウン系のチェック柄コートを使ったコーディネートでは、ダークブラウンのカーディガンと白のバンドカラーシャツをレイヤードし、ボトムスにはブラウンのコーデュロイパンツを合わせてブラウンのワントーンに。仕上げに黒のチロリアンシューズを合わせた、秋冬らしいあたたかみと重厚感のあるスタイリングです。
YOKEのブルゾンコーデ
ブルゾン×ニット×白シャツ×スラックス×ローファー
最後は、YOKEのアイボリーのオーバーサイズパデッドブルゾンを使ったレイヤードスタイル。インナーにはオフホワイトのアランニットと白シャツを重ね、ボトムスはダークブラウンのワイドスラックスで引き締め。足元は黒のローファーで全体をまとめた、やわらかさとモダンさが共存する着こなしです。
まとめ
YOKE(ヨーク)は、「つなぐ」というコンセプトのもと、シンプルかつ独創的な洋服を展開しているブランドです。上質な素材使いや緻密なディテール、そして性別や体型を問わず着られるジェンダーレスなデザインは、一度着たら虜になる魅力にあふれています。
サイズ選びやコーディネートの参考になる情報も含めてご紹介しましたので、これからYOKEのアイテムを取り入れる方にとって少しでも参考になれば幸いです。日常にアートを取り入れたような、そんな特別な一着をぜひ体感してみてください。
それではまた別の記事でお会いしましょう。
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